繰延ヘッジ損益とは?「繰延ヘッジ損益」の意味をやさしく分かりやすく解説 |
繰り延べるとは、時間的に先に延ばす、延期する、といった意味です。 ヘッジは、リスクヘッジのヘッジです。
帳簿上では時価評価しないものが資産または負債にあり、 そのリスクヘッジのために、デリバティブなどの時価評価するものが使われているとします。 このとき、そのデリバティブなどを時価評価した差額を、 ヘッジ対象の損益が確定するまで、繰り延べることで調整を行います。 つまり、デリバティブなどの時価評価額の増減=繰延ヘッジ損益の増減を常に成り立たせることで、 貸借対照表の借方・貸方がバランスするようにします。 これを繰延ヘッジ会計といいます。
具体例をあげると、 例えば簿価100円の商品Aがあり、リスクヘッジのため、半年後にその商品Aを100円で売る先物取引の契約を結んだとします。 商品Aの簿価は、その商品を売るまで100円のままですが、 その先物は商品Aの価格変動に伴って価値が上下します。 例えば、商品Aの市場価値が90円に下がれば、それを100円で売ることができる権利は、10円の価値があることになります。 つまり、商品Aの市場価値にかかわらず、商品Aの簿価=商品Aの市場価値+先物の価値=100円が常に成り立ちます。 これを貸借対照表に記載しようとしますと、商品Aは棚卸資産として資産の部に、また、 先物の価値は先物取引差金といった勘定科目で資産の部あるいは負債の部に記載しますが、 棚卸資産は時価評価せず固定、先物取引差金は時価評価するため変動するということですと、 先物取引差金の増減に伴って同じように増減するなにかが必要ということになります。 それが純資産の部に記載される繰延ヘッジ損益となります。 貸借対照表が常にバランスするという要求から生じた勘定科目といえます。 ヘッジ対象の決済が終わり損益が確定すると、その取引における先物取引差金が消え、 同時にその取引の分の繰延ヘッジ損益も消えます。
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